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目次
廃車のメリットと必要性
自動車の廃車とは、広義に解釈すると「公道を走れない状態」にする事です。自動車の基本的な役目は公道走行にありますので、この基本性能をなくす事が「廃車」だと言えます。少し分かりにくい例えになりましたが、廃車の説明の分かりにくい正体である廃車の種類については、次項で説明していきます。 まずは廃車する事のメリットや必要性について考えてみます。課税が止まる
ご存知の通り、自動車を所有していると色々な税金が課税されています。中でも毎年課税される自動車税は自動車を所有しているだけで課税され続けます。廃車にする事によって、自動車としての機能が失われますので、これにより自動車税の課税が止まります。自動車重量税も自動車を所有していると課税される税金の一つですが、これは車検受験時に納税しますので、車検を受けなければ課税される事はありません。強制加入保険である自賠責保険と同じ扱いです。故障による近隣環境破壊を防ぐ
自動車は工業製品ですので、放置していると色々な部品が動かさなくても経年劣化してくるので、必然的に故障してきます。自動車には多くのオイルやグリス、ガスが使われていますので、経年劣化による故障でこれらの自然に有害な物質が漏れだし、近隣の環境を破壊する恐れがあります。使わなくなった自動車を放置せずに、きちんと解体処理を行い廃車することにより、近隣に迷惑をかけずに済みます。駐車場代不要
軽自動車であれ、普通車であれ、動かない自動車は割と広い保管場所が必要になってきます。もし駐車場を借りているのならば、解体処理を行い廃車にする事により駐車場代が不要になります。自動車保険不要
自動車のドライバーの約9割が加入していると言われている、任意の自動車保険ですが、もちろん自動車を廃車にして手放し自動車保険を解約する事により、自動車保険の保険料も不要になります。自動車保険には、保険を完全に解約するのではなく、保険を「中断」する仕組みもあります。等級が上がっている自動車保険契約ならば、廃車の際は一度「中断」を検討してみましょう。廃車手続きはどこで出来る?
「廃車」といえば、郊外の大きな自動車工場に自動車を持って行って、自動車をペシャンコにプレスして鉄スクラップにする・・・。と言うイメージですよね。 確かにこれが「廃車」の最終形態だと言えます。 ただこれはあくまでも自動車自体をスクラップにしただけですので、これだけでは「廃車」の手続きは完了していません。ではどこで「廃車」の手続きをするのか?それは、 軽自動車であれば軽自動車検査協会 普通車であれば陸運局 となります。車検証は軽自動車であれば軽自動車検査協会が、普通車であれば陸運局が発行しています。車検証をまじまじと見た経験がある方は少ないかもしれませんが、車検証には、その車の情報がぎっしりと記載されています。その車の所有者や使用者が誰か、どこで使っているか、何年式の車なのか、大きさや重さやどれくらいか等々。軽自動車検査協会や陸運局は、日本国内にある自動車一台一台の情報の管理登録業務を行っていますので、情報がぎっしり詰まった車検証を発行出来るのです。 つまり「廃車」手続きは、自動車をスクラップにするだけではなく、軽自動車検査協会や陸運局に登録されている自動車の情報を「消す」事によって完了します。 この為、軽自動車検査協会や陸運局で行う廃車手続きを、「抹消手続き」と呼びます。廃車(抹消)の種類は2種類
軽自動車や普通車を問わずに、廃車(抹消)には2種類が存在します。永久抹消登録
永久抹消登録は読んで字の如く、陸運局や軽自動車検査協会に登録してあるその自動車の情報を「永久」に抹消する手続きです。自動車を解体してスクラップにして廃車にする場合は、「永久抹消登録」をする事が出来ます。スクラップになってますのでもちろんですが、一度永久抹消登録を行うと自動車として再度登録して使用する事は出来ません。一時抹消登録
こちらも読んで字の如く、一時的に自動車の情報を抹消する手続きです。自動車の解体を伴う手続きが「永久抹消登録」ですが、一時抹消登録は自動車を解体する必要はありません。一時的に抹消した後、再度登録して自動車として利用する事が前提の手続きです。自動車を解体しない廃車なのでイメージし難いかもしれませんが、自動車はそのままにしてナンバーだけ外して返納している状態です。もちろんナンバーが無いので公道走行が不可になります。中古車販売店に並んでいる商品車のほとんどは、「一時抹消登録」がされた「廃車状態」というのが分かりやすいかもしれませんね。廃車の前準備
軽自動車検査協会や陸運局に自動車で乗りつけて、何もせずに抹消登録は完了しません。所定の申請書に必要事項を記載して、添付書類と共に抹消申請を行う必要があります。軽自動車と普通車では申請方法が違い、また一時抹消登録と永久抹消登録でも申請方法が違いますので、これら4つの組み合わせ別に、細かく必要書類をご紹介いたします。ダウンロードリンクがある書類は、所定のサイズでプリントアウトして利用可能です。軽自動車一時抹消登録
- 車検証
- 使用者の印鑑(個人の場合は認印または署名・法人の場合は代表者印または署名)
- または押印済み申請依頼書
- ナンバープレート
- 紛失の場合は車両番号標未処分理由書
- 自動車検査証返納証明書交付申請書・自動車検査証返納届出書(軽第4号様式)
- 手数料1件350円
出典元:軽自動車検査協会 自動車検査証返納届(一時使用中止)
普通車一時抹消登録
- 車検証
- ナンバープレート
- 紛失の場合は理由書
- 一時抹消登録申請書 記入例
- 手数料納付書
- 所有者の印鑑証明書 発行から3か月以内のもの
- 所有者の委任状 所有者の実印の押印があるもの 記入例
- 手数料350円
軽自動車永久抹消登録
- 使用者の印鑑(個人の場合認印または署名 法人の場合代表者印または署名)
- 所有者の印鑑(使用者と所有者が異なる場合に必要 所有者が個人の場合認印 所有者が法人の場合代表者印)
- 車検証
- 使用済み自動車引取証明書(引取業者から交付される書類。解体完了後の移動報告番号が必要)
- ナンバープレート
- 解体届出書
- 軽自動車税申告書
- 手数料無料
普通車永久抹消登録
- 車検証
- ナンバープレート
- 紛失の場合は理由書
- 永久抹消登録申請書 記入例
- 手数料納付書
- 所有者の印鑑証明書 発行から3か月以内のもの
- 所有者の委任状 所有者の実印の押印があるもの 記入例
- 解体にかかる移動報告番号及び解体報告日
- 手数料無料
解体届出
軽自動車にも普通車にも、一時抹消登録を行ったあとに自動車の解体を行い永久抹消を行う方法があります。これを解体届出と呼びます。年度末等、解体完了まで時間が待たない場合、先に一時抹消登録を行ってから自動車の解体を行います。解体届出は次の書類を準備すれば手続きを行う事が出来ます。軽自動車解体届出
- 所有者の印鑑(個人の場合は認印 法人の場合は代表者印)
- 使用済自動車引取証明書 移動報告番号が必要
- 解体届出書
普通車解体届出
抹消申請の注意点
以上の必要書類を事前に準備し、必要事項を記入し記名押印しておくと非常に抹消申請はスムーズです。ただし、抹消申請をする場合には次の点には注意しましょう。永久抹消は事前に解体が必要
永久抹消登録をする場合で最も注意が必要なポイントは、自動車の解体が完了していないとそもそも永久抹消の申請すらできないというところです。永久抹消申請には「移動報告番号」や「解体報告日」が必要なのですが、これは解体業者が自動車の解体を完了した後にしか取得出来ない情報です。また、自動車の解体は自分で行う事が出来ず、許可を受けた解体工場でのみ行う事が出来ます。ご自身で永久抹消登録を行う場合は、まず最寄りの自動車解体工場で自動車の解体を行う必要があります。取り敢えずナンバーを返納して先に一時抹消登録を行い、後から解体届出を行う方法もありますが、その場合は解体工場迄の自動車の陸送費用も考慮しておきましょう。普通車は追加書類にご注意
印鑑証明書や実印の押印が不要な軽自動車の抹消登録は、申請自体がかなりシンプルです。車検証の所有者の住所や氏名が変更になっていたり、死亡して相続が必要な場合であっても、そのまま抹消する事が出来ます。 しかし普通車の場合、抹消申請に実印の押印と印鑑証明の添付が求められるところからもわかるように、廃車であれ一定の資産価値が認められているので、この点は非常に堅苦しい手続きとなります。次のような場合、そのままでは抹消申請が出来ずに追加書類の準備が必要です。車検証記載の住所と現住所が違う場合
引っ越し等により車検証に記載されている住所と、印鑑証明書に記載されている現住所が違う場合は、そのままでは抹消登録申請が出来ません。追加書類として車検証記載の住所と現住所が繋がる公的な書類が必要です。- 前住所記載の住民票
- 戸籍の附票
車検証記載の苗字と現在の苗字が違う場合
結婚等により、車検証記載の苗字と印鑑証明書に記載されている苗字が違う場合も抹消登録申請が出来ません。苗字が違っても同一人物である事を示すことが出来る公的な証明書が追加書類で必要です。- 戸籍謄本
- 原戸籍謄本
所有者が死亡している場合
所有者が死亡している自動車の抹消申請は、まずその自動車の相続手続きを行い相続人に名義変更をしてから、相続人名義で抹消登録申請を行う2段階の手順を踏みます。- 被相続人の除籍謄本及び原戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 代表相続人の印鑑証明書