タイミングベルトが切れると走行不可?交換or廃車どっちがベストか徹底解説!

自動車を所有していても、一度もボンネットを開けた事が無い方も少なからずいますよね。現代の自動車はメンテナンスフリー化が極端にすすみ、自動車の挙動を全てコンピューターで制御していますので、オーナーがこまめに点検をする必要はほとんどなくなりました。

そんな自動車にあって、一度は聞いたことがある部品、それが「タイミングベルト」ではないでしょうか。そもそもタイミングベルトって?なぜに交換が必要?いつ交換するの?聞いたことがあるけどタイミングベルトに対する疑問は尽きませんよね。

今回はそんなタイミングベルトにスポットをあて、役割や交換の時期等を詳しくご紹介していきたいと思います。

タイミングベルトとは?

腰に巻く「ベルト」は身近にありますが、タイミングベルトともその名の通り、かなり劣化しにくいゴムで出来たベルトのことなんです。実は自動車のエンジンにはいくつかのベルトが使われていて、その代表格がタイミングベルトなんですね。

エンジンを適切に回転させる役割

タイミングベルトはエンジンを適切に回転させるという役割をもっています。ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン問わず、エンジンは

  1. 空気と燃料をエンジン内部に吸い込む
  2. エンジン内部で点火・爆発
  3. 燃焼後の空気を排気

を繰り返し行って回転を生み出しています。燃料を吸い込む前に点火しても爆発は起きませんし、点火する前に吸い込んだ空気と燃料を排気してしまってはエンジンの「回転」は起きません。タイミングベルトはプーリーと呼ばれる滑車を回転させる事により、エンジン回転の一連の流れの適切なタイミングをとっています。正にエンジン内部の要と言えます。

実は見えない構造

自動車のボンネットを開け回転するエンジンを見ると、エンジンと一緒に回転しているゴムのベルトが確認できると思います。実はこれ、タイミングベルトではないんです。エンジンの外側で回転しているので外ベルトとも呼ばれるベルトで、発電機やエアコンコンプレッサーを回転させています。

ではタイミングベルトはどこにあるのでしょうか?

タイミングベルトはエンジン内部(側面)で回転している為に、実はボンネットから目視出来ない構造になっているんです。

ゴム製なので劣化は避けて通れない

タイミングベルトはエンジン内部にあり経年劣化がしにくく、外ベルトよりも高耐久素材のゴムで作られている為、劣化はしにくいものの、プーリーと呼ばれる滑車に引っ掛かり回転していますので、摩擦により少しづつ摩耗劣化していきます。

エンジンは一般走行で普通車の場合、1分間に2000回転程度、軽自動車の場合は30004000回転していますので、タイミングベルトには常時結構な負荷がかかっています。

タイミングベルト交換のタイミング

エンジンにとってかなり貢献度の高いタイミングベルトですが、摩耗劣化は避けて通れない道です。ではその交換のタイミングはいつ頃なのでしょうか。

10年or10万キロで交換

ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン問わず、ほとんどの国産車のタイミングベルトは新車から10年を経過した時、もしくは10万キロを走行した時のどちらか早い方とされています。メーカーや車種を問わずほぼ一律に1010万キロの交換基準が採用されているところをみると、やはりこのあたりがベルトのゴムの物理的な限界と考えるべきでしょうか。

ただ、エンジンの外側にむき出しの外ベルトとは違い、タイミングベルトはエンジン内部で保護されていますので、そのぶん経年による劣化速度は遅く、交換基準は10万キロ走行時と考える方が多いようです。

タイミングベルトの交換時期は車種によって大きく異なる

エンジンが1回転すると共にタイミングベルトも1回転します。そのため、回転数が多くなる車種やタイミングベルトに負荷がかかる構造のエンジンを搭載した車種は、一般的な1010万キロの交換よりも早めに交換時期が設定されています。

排気量が少なくエンジン回転数が高い軽自動車でも基本的には1010万キロが交換の目安ですが、中でもスポーツタイプの軽自動車はエンジンが高回転で回り安い為、実際には10万キロ走行に満たない5万キロ走行程度で交換される事もよくあります。

またフェラーリに代表されるハイパフォーマンスカーと呼ばれるスポーツカーは、2万キロ走行時や4万キロ走行時でタイミングベルト交換が推奨されています。ハイパフォーマンスカーと呼ばれるだけあって、そのエンジンのタイミングベルトはかなり過酷な負担を強いられているのです。

他にもチューニングよってエンジン出力を上げた場合や、サーキット等でレーシング走行を行っている場合は、過度にエンジンに負担がかかっていますので、メーカー指定の交換時期よりもかなり早めの交換が必要となります。

タイミングベルトを交換しないで走行するとどうなる?

ゴムで出来ているが故に避けられない摩耗劣化。劣化すれば交換すればいいのですが、では劣化したタイミングベルトを交換せずにそのまま自動車に乗り続けた場合、どのようなリスクがあるか考えてみましょう。

エンジンから異音

タイミングベルトの内側にはギザギザの形状をした歯があり、これがプーリーと呼ばれる歯車の歯に引っ掛かり回転しています。劣化によりタイミングベルトのギザギザの歯が無くなってしまうと、プーリーの歯にうまく引っ掛からなくなり滑ってしまうので、異音や振動の発生原因になります

またゴムであるが故にベルトが劣化により伸びてしまう事があります。このベルトの伸びがゴムの緩みを生じさせ、プーリーを回転させる事が出来なくなります。この現象も異音や振動を引き起こす原因となります。

この段階ではまだエンジンは回転できます。

エンジンの出力低下

タイミングベルトの歯飛びにより、正常なタイミングでプーリーを回転させる事が出来なくなると、エンジンが正常に回転しなくなります。この結果、あらゆるタイミングが微妙にずれてきますので、正常な燃料の燃焼が出来ずにエンジン出力が低下します。

更に燃料の不完全燃焼により基準値を上回る排ガスが排出され、車検合格基準に適合しなくなります。

この段階でもエンジンは回転できます。

走行中にエンジンストップ

タイミングベルトの劣化摩耗が進行すると、最終的にはベルトが断裂します。エンジン回転中にタイミングベルトが断裂すると、エンジンは正常なタイミングで回転する事が出来なくなりエンジンがストップします。もし自動車が動いていないアイドリング中にエンジンがストップするだけならそれほどの「危険」はないでしょう。

ただしタイミングベルトの断裂はほとんどの場合、エンジンへの負担がかかる走行中に起きます

走行中にエンジンがストップすると、パワステも利かなくなり今まで片手で軽々と回せていたハンドルがほとんど動かない程に重たくなります。これは走行中にほぼ曲がれない状態だと言えますので、高速走行時にエンジンがストップすると命の危険さえもあります。

もちろんエンジンの再始動はその時点で100%不可能なので、運よく無傷で停車出来たとしても、道のど真ん中で全く身動きできなくなるというかなり悲惨な状況に追い込まれてしまいます。

エンジン内部へのダメージ

エンジン回転中にタイミングベルトが断裂すると、ほとんどの場合エンジン内部にダメージが残ってしまいます。タイミングがずれてエンジンが回転してしまう事により、本来ぶつかるべきではないプラグとシリンダーヘッドがエンジン内部で衝突を繰り返し大きなダメージを負います。

こうなると、一旦エンジン自体をバラバラに分解しダメージを受けた部品を一点一点交換するオーバーホールという作業が必要になり、非常に高額な修理費用を要します。これにより多くの車両は修理をせずに廃車の道を選択する事になるでしょう。

タイミングベルト断裂後にタイミングベルトを交換しようとしても時既に遅し。

タイミングベルトが切れる前に、交換or廃車を検討しましょう。