知ってそうで意外と知らない自動車の任意保険とは?

事故で自動車が廃車に・・・。いつやってくるか分からない事故ですが、任意保険に加入していたおかげで相手方への賠償だけは保険でカバーできた!事故の際にこういった経験をされた方は多いのではないでしょうか。現在自動車を所有するならば加入は必須ともいうべき自動車保険ですが、実はその保険の仕組みをあまり理解せずに加入していませんか?今回は自動車を所有するならば必ず加入しておきたい自動車の任意保険について詳しく説明したいと思います。

強制加入保険と任意保険の違い

自動車には大きく分けると2種類の「保険」が存在します。それは強制的に加入の義務がある「自動車賠償責任保険」と、任意に加入出来る「自動車保険」です。まずはこの2つの保険の違いからみていきましょう。

自賠責保険(自動車賠償責任保険)

自賠責保険の特徴は、強制的に加入が義務付けられているところです。自動車を所有して公道を走行する場合は必ず加入しなければなりませんが、いつ保険料を納付しているのかがピンとこない方も多いかもしれません。自賠責保険への加入は基本的に車検を受験する際に行いますので、所謂「車検費用」として支払っている事が多なりますので分かり辛いですよね。自賠責保険に加入していないとそもそも車検は通りませんので、皆さんが車検期間が残っている自動車を所有しているならば、その自動車は100パーセント自賠責保険に加入されています。

また一般的な乗用車の場合の自賠責保険料は一律で決まっています。

  • 軽自動車乗用24カ月分・・・25,070円
  • 自家用乗用車24カ月分・・・25,830円

 

更に自賠責保険はその保険対象が対人保証に限定されています。

  • 障害による損害・・・限度額120万円
  • 後遺障害による損害・・・限度額4,000万円
  • 死亡による損害・・・限度額3,000万円

自賠責保険のコンセプトは「自動車による人身事故の被害者を救済するため」となっているので、事故の相手方の対人保証のみとなります。保険料は2年間で25,000円程度とかなり割安ですが、その反面、保証される限度額はかなり低めに設定されている事が分かります。

自賠責保険への加入は、ほとんどの場合自動車販売店等の自賠責保険を取り次いでいる損保会社の代理店で行います。車検を自動車販売店に依頼している方は特にそうなりますよね。自分で自動車を陸運局に持ち込みユーザー車検を利用する場合、陸運局でも自賠責保険に加入できる場合があります。

自動車保険(任意保険)

自動車保険への加入は強制ではありませんので、自動車保険未加入の車両であっても車検さえ通っていれば公道の走行は違法ではありません。ただし、自動車保険(共済含む)への加入率は全国平均で90パーセントとも言われている通り、概ねほとんどのドライバーが加入していると言えます。この高い加入率の最たる要因は、強制加入保険である自賠責保険の保険限度額の低さにあると言えます。

保険は万が一の時の備えです。万が一事故で相手に損害を与えてしまった場合、自賠責保険の限度額だけでは相手方に十分な賠償が出来るとは言えません。実際に死亡事故による損害賠償請求では、数億円の賠償命令が出される事もよくあります。自賠責保険の死亡による損害への賠償の限度額は3,000万円ですので、数億円にのぼる賠償額の請求にはとても対処出来ません。

任意の自動車保険は、自賠責保険の限度額ではカバーしきれない部分を保証する仕組みになっています。例えば死亡事故を起こした場合、自賠責保険の賠償限度額である3,000万円以上の賠償が必要になった時は、3,000万円をこえる部分について保証がなされます。

また万が一事故を起こせば、相手の体だけではなく相手の自動車や物を壊して賠償する必要性にも迫られます。自賠責保険の対象は相手の体のみで、相手の物や自動車、更には自分の体や自動車は全く保証されません。これに対して任意の自動車保険は、自賠責保険では対象となっていない対物保証や自分や同乗者の怪我などの傷害、また自分の自動車の車両に対しても保険の対象とする事が出来ます。

このように任意の自動車保険は、自賠責保険では賠償額に不足がでる場合や、そもそも自賠責保険の保険対象外に対する備えとなっている為に、非常に高い加入率を誇っています。逆に考えると、万が一の事故の際は、自賠責保険だけでは賠償をカバーしきれないと考えておいた方がいいかもしれませんね。

自動車保険加入方法

任意で加入できる自動車保険はどこで加入できるのでしょうか?自動車保険は損害保険会社(共済組合含む)が販売している商品ですので、損害保険会社の代理店等で加入の手続きが出来ます。

代理店での加入

代理店を通して自動車保険に新規加入する方法は最もオーソドックスな方法だと言えます。新車・中古車に限らず自動車の販売店の多くが、自動車保険を販売する損害保険会社の代理店となっている事が多い為に、最初に買った自動車販売店で自動車購入と一緒に自動車保険に加入される方が多いからです。自動車購入時に自動車保険への加入の手続きも同時に行えますので加入もスムーズです。自動保険には一定の知識が必要ですが、代理店を通して加入する事で契約内容についてや、万が一の事故の対処や契約更新についてもしっかりと管理してもらう事が出来ます。こういった安心感も含めて、代理店を通しての加入は根強い人気があります。

ネットから直接加入

代理店を持たずにネット専業で自動車保険を販売する損害保険会社があります。いわゆるネット自動車保険と呼ばれるこの保険は、代理店が無いので代理店を通さずに直接インターネットから加入が申し込めます。自動車保険加入には自動車保険についての一定の知識が必要ですが、加入申し込みをネットから直接自分で行う事で、非常に安い保険料を実現しています。ネット自動車保険は安い保険料を武器に、年々加入者を増加させています。テレビCMでもよく見かけるのではないでしょうか。事故時の対応の不備等、若干の問題点はあるものの保証自体はしっかりとなされ、何より安い保険料が魅力的です。ある程度自動車保険に知識のある方や、自動車保険をしっかりと勉強したい方にお勧め出来ます。

必要書類

自動車保険へ新規で加入する場合は、

  • 車検証の写し
  • 免許証の写し

の2点は必要になります。保険料の支払い方法は「口座引落」「クレジット払い」「コンビニ払い」等から選ぶことができますので、支払い方法によっては追加で引落先の口座やクレジットカードの登録も必要になります。自動車保険は、一台につき一つの保険をかければ事足りますので、どの自動車に保険をかけるのかを特定する為に車検証の写しが必要になります。また、自動車保険料はドライバーの年齢や免許証の色によってもかなり変動しますので、免許証の写しも必要になります。

保険の種類

任意で加入できる自動車保険は大きく分けると5つの保証で構成されています。どの保証をどれくらいの限度額にするかを組み合わせて自動車保険を組成していきます。自動車保険の5つの項目は次の通りです。

対人保証

事故をした際に相手を死亡または怪我をさせてしまった場合に保証がなされます。自賠責保険は対人保証にのみ適用されますので、純粋に自賠責保険でカバーできないところを保証する為にある項目です。自賠責保険をカバーする意味合いが強い為に、自動車保険ではほとんどの方が対人保証の賠償額を無制限にされる傾向にあります。

対物保証

対人保証に特化した自賠責保険では全く保証がされない対物保証を自動車保険がカバーします。事故の際に壊してしまった相手の自動車や相手の物について賠償が必要な時は、対物保証から賠償金の支払いがなされます。対物保証に関しても対人保証と同様に、ほとんどの方は賠償額を無制限にされています。

傷害保証

自賠責保険は相手方の怪我や死亡の際に限定されていますので、自分の怪我や同乗者の怪我については全く保証されません。傷害保証は万が一の事故の際にドライバーや同乗者の怪我を保証対象にしています。賠償額の限度を無制限にされる方は稀で、一般的には傷害保証の限度額3,000万円~5,000万円での加入がほとんどです。

車両保証

車両保証は万が一の事故の時に、ダメージを受けた自分の車の修理費用を保証の対象にしています。自動車保険に車両保証を付けておくことで、事故でダメージを負った自分の車の修理費用が保険金で支払われます。車両保証には、自損事故の場合であっても保険金の支払いがなされる「車両一般保証」と、車同士の事故の時に限定して保険金の支払いがなされる「車両限定保証」の2つの種類があります。自動車保険料は「車両一般保証」の方が高く、「車両限定保証」の方が割安になります。

その他特約

自動車保険には「対人」「対物」「傷害」「車両」の4つの保険項目の他に、特約を設定する事でより安心した保証を受ける事が出来ます。非常にオーソドックスな特約から、最近ではほぼ自動車に関係の無い特約もありますので、その中からいくつかご紹介してみたいと思います。

  • 弁護士費用特約

万が一の事故の際に相手方との賠償額の交渉が決裂し、示談が成立しない事もあります。両者の主張が食い違った場合に示談の不調は起こりやすいですが、こういった場合は最終的に弁護士に相手方との示談交渉を依頼する事になります。弁護士に交渉を依頼すると弁護士費用が必要になりますが、弁護士費用特約を付帯する事によって弁護士費用を保険金で支払う事ができるようになります。

  • ドライブレコーダー特約

自動車保険にドライブレコーダー特約を付帯すると、保険会社からドライブレコーダーが郵送されてきます。販売されている普通のドライブレコーダーとは違い、ドライブレコーダーに通信機能が備わっており、事故の際にドライブレコーダーを介して直接損害保険会社の事故受け付けに電話が繋がるようになっています。また事故時に録画された動画データや事故時の位置データも同時に事故受け付けセンターに送信される仕組みのものがほとんどなので、事故の際の位置情報や状況の説明が不要になります。高性能のドライブレコーダーを損保会社からレンタルしているようなイメージですね。

  • ファミリーバイク特約

ファミリーバイクとは排気量50cc以下のバイク、つまり原動機付自転車を指します。この特約を付帯すると、ファミリーバイク搭乗中に起こした事故についても対人対物保証を受ける事が出来ます。自動車保険契約者と同居している親族にもその保証の適用範囲がありますので、自分でファミリーバイクを運転しなくても、同居している子供や親が運転するならば付帯したい特約です。

  • 個人賠償責任特約

この特約も、同居している親族に保証の適用範囲があります。この特約を付帯すると、他人に怪我を負わせてしまったり他人の物を壊してしまい賠償が必要な時に保証を受ける事が出来ます。これは自動車運転中でなくとも保証の対象となりますので、例えば同居する子供が自転車搭乗中に停車中の自動車にぶつかり傷をつけてしまった場合でも、その修理費用について保険金が支払われます。また、自宅マンションが水漏れを起こし、下の階の住人の物を壊してしまった場合であっても、その損害額に対して保険金が支払われます。普段自転車に乗る事が多い高校生までの子供がいるご家庭では必ず付帯しておきたい特約と言えます。

保険料の変動のポイント

自動車を所有してみると、自動車保険料が維持費に占める割合が高い事に気づきますよね。自賠責保険の性質を考えると自動車保険に加入しないわけにもいきません。ただやっぱり保険料は安い方がいいですよね。ここでは自動車保険の保険料が変動するポイントをご紹介します。

保険プラン

保険料が最も大きく変わるポイントは何といっても保険のプランにあります。保険プランとはつまり自動車保険の保証内容の事です。例えば、「対人」「対物」「傷害」「車両」の4つの保証のうち、最低限加入する必要があるのは、

  • 対人保証・・・無制限
  • 対物保証・・・無制限
  • 人身傷害・・・限度額3,000万円

の3項目です。自動車保険はわりと簡単に見積もりをとる事が出来ますが、各社最も安い自動車保険のプランは恐らくこの3つの保証に絞ったものになるはずです。万が一の事故の時に相手に対する保証は無制限でされますので、事故相手に迷惑をかける事はありません。

この基本的なプランに、「車両」の保証を追加すると保険料は跳ね上がります。車両保険には「一般保証」と「限定保証」があり、車両保険の「一般保証」を追加すると最も高額な自動車保険になります。取り敢えず最低限事故相手には迷惑をかけたくない為に自動車保険に加入する場合は、対人対物無制限・人身傷害限度額3,000万円のプランに加入しておきましょう。

保証額

一般的にある保険と同じで自動車保険も保証がなされる限度額によっても保険料が変動します。例えば対人対物保証は無制限になっている保険プランを、対人対物の保証額の限度額を1億円程度にすると保険料を下げる事は出来ます。また、車両保険に加入する場合に車両保険額の限度額を下げる事によっても保険料を下げる事が出来ます。車両保険については、事故時の免責金額を設定する事により保険料を下げる事が出来ます。ただし、限度額を下げ過ぎて万が一の事故の時に十分な保証が得られないのは本末転倒だと言えますね。

保証対象の限定

自動車保険の保険料で最も高額になるのは、事故時のドライバーが誰であろうとも保険金支払いの対象になるプランです。逆に事故時に保険金支払いの対象となるドライバーを限定すれば保険料を下げる事が出来ます。最も安い保険料は、保険対象を自分だけにする場合です。自分が運転中の事故しか保証の対象になりませんが、最も保険料が安くなります。ドライバーの限定は保険会社によって若干の違いがあり、本人限定以外にも、本人配偶者限定や家族限定等があります。

更に保険対象のドライバーの年齢を限定する事により保険料がより下がります。ドライバーに年齢制限をしないプランが最も保険料が高く、保険会社により若干の違いはりますが、21歳以上限定、26歳以上限定、30歳以上限定、35歳以上限定等があります。統計上、年齢が若い方が事故率が高くなりますので、年齢が上がるほど保険料が安くなる傾向にあります。

保険料率

損害保険会社各社は、過去の事故のデータにより保険料率を独自に算出しています。保険料率により正確な保険料が算定されています。保険料率はいくつもの要素によって決まっていますが、最も分かりやすいのは車種別の事故率です。スピードが出やすいスポーツカータイプの車種が最も保険料率が高く保険料も高くなります。逆にスピードはあまり出ない軽自動車は保険料率が低く保険料も割安になります。また都道府県によっても保険料率が違います。都道府県により事故件数がかなり違いますが、事故の多いエリアは保険料率がそれだけで高くなります。更に年齢によっても事故を起こす確率が違います。免許を取得間もない若い世代が事故を起こす割合が最も高くなり、年齢が上がるごとに事故率は下がっていきます。ただ、年齢が65歳をこえると再び事故率が高くなりますので、年齢による保険料率の違いも保険料に直接影響しています。

まとめ

事故を起こしてしまった時に活躍する自動車保険はお守りのようなものなので使わないに越したことはありません。ただ自動車保険(共済含む)の加入率は実に90パーセント程度にのぼり、強制加入ではないものの、自動車を所有するならばやはり加入しておきたいところです。現在では代理店加入の他にネット保険の拡充もあり、安い保険料から手厚い保証まで選択肢がかなり広がっていると言えます。

自動車保険というと割と取っ付きにくい分野ですが、多くの特約もあり保険内容についても調べてみると意外に面白い内容になっています。ネット保険拡充により現在加入している自動車保険を見直せばかなり保険料が下がる事もありますので、後学の為にも自動車保険を少し勉強してみてはいかがでしょうか。