所有者が死亡した自動車を処分するには「相続」が必要、その方法を具体的にご紹介!

親や兄弟等の親族が亡くなると必ず発生するのが「相続」です。映画やドラマのテーマとして取り上げられる程、人生では大きな出来事の一つかもしれません。相続と聞くと故人のお金や財産をみんなで分配するというイメージが最も大きいですが、この分配する財産の対象として実は「自動車」も含まれているんです。これは意外と知られていない知識だったりします。この為、所有者が死亡した自動車は、誰でもが勝手に処分出来る訳ではなく、きっちりと「相続」の手続きを取らないと処分する事は出来ません。今回はそんな所有者が死亡した自動車の相続手続きにスポットを当ててみたいと思います。

相続とは

故人の財産や権利や義務等を故人の関係者が継承する事です。

相続時において、故人は「被相続人」と呼ばれ、故人の財産等を継承する関係者の事は「相続人」と呼ばれます。「相続人」には、故人と戸籍上強い繋がりがある配偶者や親兄弟の親族等、民法で定められている「法定相続人」と、故人が相続人として遺言で指定した場合の「指定相続人」の2種類があります。

また故人の相続財産については、規定の相続手続き行わない限り、例え相続人であってもこれを勝手に処分したり使用する事は出来ません。

例えば家やマンション等の不動産は相続をする「財産」として最も有名ではないでしょうか。もちろん預金や現金、株等や国債等の有価証券も非常に換金性が高い「財産」となります。実は普通自動車もこの相続の対象となる「財産」に含まれますので、故人名義の自動車は相続の所定の手続きを行わないと勝手に処分(廃車や譲渡)が行えないんです。

「財産」以外に「権利」と「義務」も相続の対象となります。

相続の対象となる「権利」と聞いてもなかなかイメージしにくいのですが、これには契約の買い手売り手、借り手貸し手といった地位があてはまります。例えば個人が借りていた賃貸駐車場の借主としての地位は「相続」の対象となりますので、故人が締結していた賃貸契約は故人死亡によって自動的に解約される事はありません。引き続き相続人が賃貸契約の借主となりますので、駐車場を使用する権利が発生します。反面、駐車場が不要な場合でも、駐車場賃料の支払い義務も発生します。駐車場が不要な場合は、適正に相続を行ったあと、適正に賃貸契約の解約を申し出なければなりません。賃貸の場合は貸主も同じように貸主の地位は相続の対象となります。貸主が死亡した事によって賃貸契約が解除されてしまっては、借りている方はたまったものではありませんよね。

相続の対象となる「義務」で有名なものは債務、つまり借金です。故人が借りていたお金を返済する義務は相続人に継承されますので、故人から債務を相続した相続人は、故人に替わって借金を返済する義務を負います。借金だけを相続する事は稀で、一般的には財産と共に債務を相続します。これは相続税の計算の際に、債務(借金)は相続税の課税の対象から控除される為です。例えば相続財産1億円、債務(7,000万円)を相続した場合、相続の対象となるのは、1億円-7,000万円=3,000万円となります。基礎控除等、相続税の計算はもう少し複雑ですが、イメージとしてはこうなりますので、相続税対策として節税の為に敢えて債務(借金)をつくる場合もあります。

逆に相続の対象となる財産よりも債務の方が多い場合、相続をしても債務(借金)だけが残ってしまいます。相続のシステムとしては、財産だけを相続して債務は相続をしないと言う事はもちろんできません。ただ、借金をしていない相続人に借金だけを継承させるのはあまりにも理不尽ですよね。

このような場合の為に、相続には「相続放棄」という制度も用意されています。

相続を放棄する申し立てを裁判所に行えば、故人が残した財産や債務(借金)や権利を一切相続しなくてもよくなります。これにより故人が残した債務(借金)から免れる事が出来ます。もちろん相続放棄を行えば、故人が残した財産も放棄しなければなりません。

また、民法上で定められている法定相続人と同様に、民法上で誰がどれだけ相続する権利を有しているかの割合の基準も定められています。これを「法定相続分」と呼びます。

相続の所定の手続きの流れとしては、「誰が」「何を」「どれだけ」相続するか話し合いで決定します。この時、法定相続分を基準にして「どれだけ」相続するかが決められる事が多いと言えます。

「誰が」「何を」「どれだけ」相続するか決定したら、「遺産分割協議書」を作成しその内容を記載し、相続人全員の実印を押印し、各々の印鑑証明書を添付します。この書類がどのようば場合でも「相続」の手続きをする上で必要不可欠になります。

軽自動車は相続手続きが不要

登記制度や登録制度がある土地や建物、自動車、他にも故人名義の預貯金等は、所定の相続手続きを申請して相続人に名義を変更し無い事には、処分や使用する事が出来ません。

がしかし、軽自動車に限っては何と相続手続きを踏まずに処分したり名義を変更したりする事が出来ます。

理由としてはいくつかあげられますが、まず軽自動車は普通車と違い財産的な価値がそれ程認められていないという事です。そもそも軽自動車の誕生の背景には、「庶民が安価で乗れる車」というコンセプトがあり、どちらかと言うとバイクの扱いに近いかたちで誕生しました。車体も普通車に比べて安価で、名義変更等の手続きも非常に簡素化されています。このコンセプトは今でも引き継がれていますので、手続きも簡素で税金もかなり安くなっています。車体価格は非常に普通車並みに高騰していますが、手続きは昔と変わらず簡素なままになっている為、相続手続きは不要なんです。

また、普通車は陸運局で登録管理させていますが、軽自動車は軽自動車検査協会が登録管理を行っています。また普通車に課税しているのは都道府県ですが、軽自動車に課税しているのは市区町村となり、自動車という大枠では同じですが、根本的に普通車と軽自動車は管理登録しているところに違いがあります。これによりそもそもの書類申請手続きの違いがあり、財産価値が低いとされている軽自動車は相続手続きが不要で、故人名義のまますぐに名義変更を行ったり廃車を行ったり出来るようになっています。

相続の手続きの方法

相続手続きは「遺産分割協議書」の「作成」と相続人の「署名押印」をする事を指すと言っても過言ではありません。全ての相続手続きに添付が義務付けられるこの「遺産分割協議書」、法律の専門家である弁護士や司法書士に作成を依頼する事も出来ますが、自動車の処分に使うだけの遺産分割協議書であれば自分でも簡単に作成出来ます。ここからはその具体的な作成方法を順を追って説明していきたいと思います。

遺産分割協議書作成に必要な書類

全ての相続手続きに言える事ですが、まずは

相続人の確定

が必要です。

誰が相続する権利を有しているのかを確定させ相続人間で合意する。

これが相続の基本です。

故人が遺言で相続人を指定していない場合、法律で定められた相続人が法定相続人となります。

法定相続人は相続の順位があらかじめ決められており、更に相続の割合の基準も定められています。

第一順位は故人の配偶者、第二順位に故人の子供、第三順位に親兄弟となっています。基本的には「血縁関係」にある「親族」が法定相続人になっているとご理解頂ければ差し支えないと思います。

遺産分割協議書作成にあたり、故人と血縁関係にある事を書面で証明する必要があります。この為、まずは

故人の産まれてから死亡するまでの全ての戸籍・除籍謄本

が必要になります。

日本は明治時代になり欧米から戸籍システムを導入しました。国民一人一人を戸籍により管理しています。戸籍は出生と同時に出生届が出され、死亡と同時に死亡届が出されるまでの間の、その人の婚姻や離婚、子の誕生等の履歴が記載されていきます。戸籍謄本は死亡届を出す事により戸籍が無くなる為に「除籍謄本」という名称に変わります。

戸籍は本籍地のある役所で管理されていますので、まずは故人の本籍地があった役所から「故人の産まれてから死亡するまでの全ての戸籍・除籍謄本」を取得します。

取得の際の注意点

除籍謄本だけでは情報不足

死亡届を出したあと、戸籍謄本は除籍謄本と名称が変更されます。相続をする場合、除籍謄本のみを取得しがちですが、除籍謄本だけでは故人の親族である相続人の全ての情報は確認できません。死亡届を出した後も、失効している戸籍謄本は原戸籍謄本と呼ばれ管理されていますので、除籍謄本だけではなく、生まれてから亡くなるまでの全ての謄本を取得しましょう。かなりレアなケースですが、故人の原戸籍謄本を取得した事により隠し子がいた事が発覚する事もあります。戸籍謄本に隠し子が記載されていれば、隠し子とは言え立派な相続権を有して相続人となります。

本籍地移動の場合は全部とれない

産まれてから亡くなるまで本籍地を移動させていない方は、その本籍地がある役所で産まれてから死亡するまでの全ての戸籍・除籍謄本が取得出来ます。ただし、婚姻等により本籍地の移動を行った事がある方の場合は、その本籍地ごとに除籍謄本や戸籍謄本を取得しなければなりません。戸籍は本籍地のあった役所が本籍地のあった期間分だけしか保管していません。本籍地を移動させると、当然今度は新しい本籍地において戸籍の管理が始まります。被相続人が本籍地を複数回移動させていた場合は、元々本籍地があった役所の全てで書類の申請と取得が必要となります。

故人の本籍地が遠方の場合は郵送で取得

戸籍謄本は本籍地がある役所でのみ取得可能という特性上、本籍地のある役所まで出向いて書類を申請して取得する事が基本となります。もしも本籍地が新幹線や飛行機で移動するようなかなりの遠方にある場合は、そこまで出向くだけでも一苦労ですよね。

また本籍地を複数回移動させていた方であれば、戸籍謄本等を取得するだけでも経済的体力的な負担は非常に大きくなります。こんな場合は郵送での取得申請を有効に利用しましょう。

ほとんどの役所では証明書の取得手続きを郵送で行う事が出来ます。各役所のホームページで具体的な取得方法の確認や取得書類のダウンロードが可能となっています。取得の申請手数料は郵便局で購入可能な定額小為替で支払う事が多く、そこはひと手間ですが現地に赴く事を考えれば非常に便利なシステムだと言えますね。

相続人からの委任状があれば代理人でも取得可能

多くの公的な書類と同様に、戸籍謄本や原戸籍謄本・除籍謄本といった相続に必要な公的書類も、委任状を提出すれば、相続人以外であっても申請と取得が可能です。日中に役所に出向く事が出来ない多忙な方や、遺産分割協議書を他人に依頼する場合は、委任状さえ依頼者に渡しておけば割と簡単に取得が可能です。委任状についても、各役所のホームページでフォーマットをダウンロードできる場合がほとんどですので有効に活用しましょう。

故人の本籍地不明の場合

故人の正確な本籍地が分からない場合、除籍謄本等の相続手続きに必要な公的な書類が取得不可能です。こういった場合は、相続人(血縁関係者)に限り、自分の戸籍謄本から故人の戸籍謄本を取得していくという方法で確実に故人の本籍地を調べる方法があります。血縁関係にあれば、必ず戸籍上も「繋がり」があるからこそ出来る方法なんです。

まず自分の戸籍謄本を取り寄せます。ここで稀に自分の本籍地を知らない方がいますが、自分の本籍地は本籍地記載の「住民票」を取得すれば簡単に確認する事が出来ます。自動車の免許証に本籍地の記載が無くなってから、自分の本籍地を知らない方は意外と増えているようです。

自分の戸籍謄本を取得すれば、自分の出生の日時や場所、親兄弟子供の情報が記載されています。婚姻経験がある場合は、独立して自分の現在の家族の戸籍情報となっていますので、自分の戸籍謄本には親や兄弟の情報は記載されておらず、自分の配偶者や子供の情報が記載されているはずです。この場合は自分が婚姻する前の原戸籍謄本を取得すれば、親や兄弟の戸籍情報が記載されています。親や兄弟が転籍している場合は、転籍先も記載されていますのでここで正確な戸籍情報が得られます。複数回転籍をしている場合は、どんどんと転籍先の戸籍情報を追っていく事により、死亡時の本籍地まで調べる事が出来ます。

遺産分割協議書=契約書

故人の産まれてから死亡するまでの全ての戸籍により、正確な相続人が確定すれば相続人間で「誰が」「何を」「どれだけ」相続するのかを協議します。相続財産が多ければ多いほど、揉めるポイントはやはりここです。

相続出来る配分は一応民法で基準が定められていますが、相続人同士での協議と合意が基本となっています。また相続財産が一定額を超えると、相続分に対して相続税が課税されますのでこの点も相続時には考慮しておきたいところです。

普通自動車の相続の場合は、不動産のように共有がありませんので、「誰が」相続をするのかを相続人同士で協議します。価値の少ない廃車を検討している自動車であればあまり揉める事は無いでしょう。商品を売買したり、不動産を貸し借りしたり、契約事を書面化したものは契約書と呼ばれますが、遺産分割協議書も話し合いで取り決めた内容を記載する書面なので、遺産分割協議書は相続における契約書とイメージすると分かりやすいかもしれません。

遺産分割協議書作成

相続人同士で「誰が」自動車を相続するのかが決定したら、いざ「遺産分割協議書」の作成です。

遺産分割協議書ダウロードリンク

こちらは国土交通省のホームページからダウンロードできる、自動車相続用の遺産分割協議書です。A4用紙1枚の自動車相続に特化した書面となっているので、自分で遺産分割協議書を作成する場合はこちらの書面が使いやすくてオススメです。

ただ、「誰が所有する」「どの自動車を」「誰が相続するのか」が明記されており、相続人全員の署名捺印がされていれば、別段自作した書面でもその効力はあります。

では、実際に遺産分割協議書の作成方法をみていきましょう。

記載する内容は書面の通り、相続開始の日付(故人の死亡日)と所有者(故人の氏名)及び相続する人の氏名を記入します。複数の相続人がいる場合、実際に自動車を相続する人は「代表相続人」と呼ばれます。

また、どの自動車を相続するのかを明記する必要がありますので、自動車の登録番号(ナンバー)と車台番号(車検証に記載有)を記入しておきます。

ここまで記入が出来れば、後は相続人全員で署名及び押印を行います。

実は簡素化されている自動車の相続手続き

遺産分割協議書には相続人全員の署名及び実印での押印及び印鑑証明の添付が義務付けられています。

しかし自動車の相続手続きに用いる遺産分割協議書に限っては、代表相続人のみ実印での押印及び印鑑証明書の添付が必要ですが、代表相続人以外の相続人については印鑑証明書の添付は不要で、押印も実印ではなく認印でも可能なんです。

この為、例えば遠方に住んでいる相続人については電話等で意思の確認をすれば、代筆で署名をして適当な認印で押印しさえすれば事足ります。普通自動車は相続財産とされていますが、例えば廃車にするような価値の無い自動車も相続財産には該当します。また自動車の価値は新車の時をピークにして年々下降しますので、財産的価値が他の相続財産に比べて低いとみなされている為に、他の相続財産の相続手続きに比べて遺産分割協議書が簡素化されています。

日本人にとっては実印での押印と印鑑証明書の添付はかなり心理的な抵抗が大きいと言えますので、これが認印での押印で済むというだけでも手続きが非常に楽になります。

所有者が死亡した自動車を処分する方法

遺産分割協議書の作成が完了すれば、自動車の相続手続きの99%が完了したと言えます。ここまでくれば、あとは相続する自動車を代表相続人名義に変更し、その後代表相続人名義で処分する為の廃車手続き(抹消登録申請)を行います。相続した自動車をそのまま廃車にする場合は、代表相続人への名義変更と代表相続人名義での廃車手続き(抹消登録申請)は同時に行います。

普通車の名義変更を行う為には必ず車庫証明の申請が必要になりますが、相続してすぐに廃車になる事が分かっているので、相続と廃車を同時に申請する事で車庫証明が不要になります。

遺産分割協議書や遺産分割協議書作成に取得した個人の除籍謄本や原戸籍謄本等も、廃車申請に必要になりますので紛失しないようにしっかりと管理しておきましょう。

まとめ

所有者が死亡した自動車を処分する為には、死亡した所有者名義のままでは処分が出来ません。その為、死亡した所有者から相続人への名義変更が必要です。これを相続手続きと呼びます。自動車の相続手続きを行うにも、遺産分割協議書の作成が必須です。遺産分割協議者の作成には、相続人を確定させる故人の除籍謄本や原戸籍謄本といった公的な証明書が必要です。また遺産分割協議書には代表相続人のみ実印での押印と印鑑証明の添付が義務付けられていますが、他の相続人の押印は認印でも差し支えありません。

遺産分割協議書が完成すれば、あとは自動車の処分を依頼するだけです。

相続が必要な自動車の処分を依頼するのは廃車本舗がオススメです。廃車買取専門店である廃車本舗は年間の廃車台数が数万台にのぼりますので、廃車に関する知識や経験豊富なスタッフが常駐しています。もし相続手続きに困った時でも、専門スタッフがすぐに明確に答えを出してくれますので非常に安心です。初めての相続手続きに戸惑った時こそ、経験豊富なスタッフのいる廃車本舗に廃車を依頼してみてはいかがでしょうか。